幽霊船は海で踊る

一週間に一度、おすすめ本の投稿をしています。

最近読んだ本の話

気付けば一ヶ月もブログを更新していなかったらしい。

 

最近読んでよかった本のことでも書こうと思う。

といっても、遅読なので、先月読んだものがほとんどである。

 

蜜蜂と遠雷』著:恩田 陸

2016に刊行され、直木賞本屋大賞を受賞した有名作で、今年の10月に映画化することでまた話題となっている作品である。が、残念ながら知らなかった。おそらく本のことを考える間がなくなった時に出ていたせいだろう。

ともかく、その作品を最近読んでいる。上下段500ページと、なかなかの分量だが、その見た目に怯んだわりには読みやすくするすると読める。……あと100ページほど残っているのだが。

4人のピアニストの話なのだが、4人それぞれに色が違っておもしろい。クラシックのことはあまり詳しくないのだが、つい最近読んだ『羊と鋼の森』(またもや話題作を最近読む私である)にも、ピアノの調律で音が変わること、ホールでは客の入りや構造によって響きも変わってくること、弾く人によっても音が違うことを学んでいたので、あぁやっぱり変わるんだなぁと無知ながら思っている。

あまり内容に触れると安っぽくなってしまうし、すべて伏せると語彙がなくなる。難しいものである。でもおもしろい作品なのでぜひ読んでほしい。

これを映画化するのか……といささか不安であるが(事実キャストに首をひねっている)、映画も少し気になる。ピアノの描写が詳しくされているが、果たしてそれはどこまで再現できているのだろうか。

 

『天国はまだ遠く』著:瀬尾まいこ

『そして、バトンは渡された』が本屋大賞を受賞したものの、当作は読む気はなく、しかし瀬尾まいこ作品は未読で気になったので、とりあえず気になったこの本を選んだ。

なにもかもが嫌になった主人公が、死に場所を探して京都の奥深くに行くのだが、山奥の民宿の番頭との出会いから変わっていく、といった話である。

薄い文庫本なので、気軽に読めるし、心穏やかに読めていい本である。

 

『地図男』著:真藤順丈

『宝島』が直木賞を受賞したが、読む気はなく(以下略)。古い作品だと思って手に取ったものの、文庫本自体は『宝島』を出版してから出たもののようで、本人によるあとがきがあった。まぁそれはそれでよい。

途中まで、なんじゃこりゃと思いながら読んでいたが、途中から「地図男」の存在が無性に気になり猛スピードで読んだ。それで終わりかぁ、とも思ったが、まぁ嫌いではない作品である。

 

『真夜中の動物園』著:ソーニャ・ハートネット

『銀のロバ』『木曜日に生まれた子ども』に引き続き、ソーニャの作品。2011年にオーストラリア児童図書賞受賞。2012年カーネギー賞候補になったようだ。

私の読んだ中では『銀のロバ』が一番明るく(それでもハッピーな話ではない)、『真夜中の動物園』が一番暗いテーマの話だったように思う。しかし、それを感じさせない独特の語り口で、やっぱりソーニャ作品はおもしろいなぁと思いながら読んだ。

しかし一番おすすめは『木曜日に生まれた子ども』である。

 

 

現在、桜庭一樹著の『小説という毒を浴びる』にて出てきて気になった本をチェックしている最中で、今は『クレーン男』を読んでいる。

それから、最近個人的にファンの古市憲寿による『百の夜は跳ねて』。数ページ読んで同じ名前の登場人物が出てきたときはうれしくなったが、そのキャラクターに顔をゆがめている。

そして最初に紹介した『蜜蜂と遠雷』。もう一ヶ月ほど読んでいるが。

現在読んでいるこの3作品すべて、良作な(予感がする)ので、ぜひ読んでほしい。