『わたしが少女型ロボットだったころ』石川宏千花
わたしは人間じゃなくて、ロボットだった。
そのことを、わたしはすっかり忘れて生きてきた。
きっと、忘れたまま生活するようにプログラミングされていたんだと思う。
だけど、思いだしてしまった。
本当に突然、ふっと。
(本文より)
拒食症の話か、とは思ったし、症状の一部として現れる妄想みたいなものかなと最初は思ったけれど、本当の話でもあるように思う。
実際に自分がロボットだ、と思うから食べられなくなった、ということもそうだし、
本当に主人公の多鶴(たづる)は少女型ロボットなんだろうな、ということも。
現実でもありSFでもあるような、不思議な雰囲気の本だった。
ただ、たづが本当に幸せだったのは、理解してくれる人が近くにいて、そして何を言われてもたづのために動いてくれていたことだと思う。現実でも、そういう人がいるかいないかでかなり変わってくると思う。