『九年目の魔法』ダイアナ・ウィン・ジョーンズ
ダイアナ・ウィン・ジョーンズ『九年目の魔法』(東京創元社)
何かがおかしい。
壁にかかった『火と毒人参』という写真も、よく読んだベッドの上のこの本も、覚えているのとは違っている。
まるで記憶が二重になっているみたい。
迷い込んだお屋敷のお葬式で出会った、背の高いリンさん。
年上なのになぜか仲良くなって、それから恐ろしいことが起きはじめた……。
なぜ、そんなリンさんのことを忘れてしまったんだろう?
『魔法使いハウル』で知られるダイアナ・ウィン・ジョーンズの作品。
個人的にはハウルよりおもしろかった。
ヒーロー!という感じのしない、ちょっと頼りなさげなリンさんがもう大好き。
「よくわからない」という評価を受けがちなようだが、個人的にはそこまででもない。
ちょっとよくわからない部分は確かにあるけど、最後までよくわからなかった、という物語でもない気がする。
でもできればもう一度、『タム・リン』と『詩人トーマス』を読んでからもう一回読みたいかな。