幽霊船は海で踊る

一週間に一度、おすすめ本の投稿をしています。

『九年目の魔法』ダイアナ・ウィン・ジョーンズ

 

 

 

ダイアナ・ウィン・ジョーンズ『九年目の魔法』(東京創元社)

 

何かがおかしい。

壁にかかった『火と毒人参』という写真も、よく読んだベッドの上のこの本も、覚えているのとは違っている。

まるで記憶が二重になっているみたい。

迷い込んだお屋敷のお葬式で出会った、背の高いリンさん。

年上なのになぜか仲良くなって、それから恐ろしいことが起きはじめた……。

なぜ、そんなリンさんのことを忘れてしまったんだろう?

 

 

『魔法使いハウル』で知られるダイアナ・ウィン・ジョーンズの作品。

個人的にはハウルよりおもしろかった。

ヒーロー!という感じのしない、ちょっと頼りなさげなリンさんがもう大好き。

「よくわからない」という評価を受けがちなようだが、個人的にはそこまででもない。

ちょっとよくわからない部分は確かにあるけど、最後までよくわからなかった、という物語でもない気がする。

でもできればもう一度、『タム・リン』と『詩人トーマス』を読んでからもう一回読みたいかな。