幽霊船は海で踊る

一週間に一度、おすすめ本の投稿をしています。

帰省の途

 

久しぶりに実家に帰ることにした。

理由はないに等しいのだが、挙げるとすれば「海が見たくなったから」だ。

別に海ならばどこでも良かったのだが、まぁ帰るだけでも孝行になるだろう。例え己の心が荒もうとも。

 

実家に帰ろうと決めたのはおおよそ1ヶ月前だったか。なんだか気分が沈み続けた時期で、おそらく「育犬ノイローゼ」なるものだったのだろうと自分で分析する。

まぁとにもかくにも、疲れていた。遠くに行きたかった。生活が少し変わったこともあったのだろう。私はまだ遠くへ行けるのだ、ということを証明したかった。

 

かくして帰省の途についているのだが、家に置いてきた犬のゴウが心配で仕方ない。

仕事終わりに急いで支度をし、ごはんをあげて、少しだけ触れ合ったが、この真っ暗の中、一人で待っているのだと思うと切なくて仕方がない。そんな思いのせいか、愛犬の恨みか知らで、バスターミナルまでもう少しのところで大いに迷った。

分からぬ道をひた歩き、ようやく見つけたインフォメーションセンターの人に道を聞き、せめて連絡しようとバスターミナルに電話をかけるも営業時間外。そうこうしながらも、なんとか一本遅いバスを無理無理確保してもらった。

帰るのやめようかな。

正直そう思ったが、まぁ仕方ない。自分を慰めようと買ったカップのアイスカフェオレは5分ともたずに飲み干した。

あぁ、バスの中で飲もうと思ったのに。けれどここで酒ではなくカフェオレにした私はえらい。

多少の手数料はかかったが、バスターミナルのおじさんの好意のおかげで170円で済んだ。これ幸い。予定は狂いはしたが、なんとかもとの線路に戻ったので、ここからは予定通り本を読もうと思う。

お疲れさま、わたし。

 

 

ちなみに、愛犬は帰省の間ほうったらかし、ということはないので、安心してほしい。