幽霊船は海で踊る

一週間に一度、おすすめ本の投稿をしています。

「ここ、いいなぁ」と思う瞬間はいくらでもある。
それこそ、旅先で見かけた景色なんかは、特に。
人が生活しているのを見ると、どうしても映画のようにきれいに見えて、ここで暮らしてみ
たらどんなふうになるだろう、と思いを馳せるときもある。
だけど、じゃあここで家を探してみようか、なんてところまで考えることはなく、やっぱり
わが家に帰ってくる。
「住めば都」ではないが、今の家はまま辺鄙な場所にあって、お世辞にも暮らしやすいとい
える環境ではない。そのうえ、前職の職場から近いアパートを探しただけで、特に場所に対
するこだわりがあったわけでもない。
でも、今の家があるこの町が、いたく気に入っている。
なんだか、後出しじゃんけんのようにも思えるが、この町が「特別な町」になっていること
は間違いない。
特別駅が近いわけではない上に、電車の路線が独立しているせいで、どこへ行くにも乗換が
必要だし、スーパーやコンビニでさえも車を使わなくては行けない場所にある。
それでも、電車から見える景色は郷愁を感じられて好きだし、散歩のときに吹く風は穏やか
で気持ちがいい。人が多いわけでもないから、静かで落ち着く。
たぶんこの場所が、お気に入りになっているのは、いろんな思い出が募ったせいもあるのだ
ろう。それでも、有名な町だとか、みんなが「住みやすい」という町だというわけではない、
この小さな町が、私の“住みたかった街”になっている。

書籍化記念! SUUMOタウン特別お題キャンペーン #住みたい街、住みたかった街

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by リクルート住まいカンパニー