幽霊船は海で踊る

一週間に一度、おすすめ本の投稿をしています。

家族って

 

家族ってなんだろう、と考える。

世間では、家族をかけがえのないものとして扱うが、私にとってはよくわからない。

 

べつに、ネグレクトや暴力に悩んでいたわけではないし、おそらくうちは、まぁ一般的な家庭だろう。

ただ若干の、いわゆる毒親なんだろうな、とは思う。

我が家は代々過保護な家系で、その家の長女として生まれた私はとにかく可愛がられた。また、幼い頃は体が弱かったこともあり、輪をかけて可愛がられたのだと思う。

あまりにも可愛がられた私は、自分の意思を持つのが遅かったように思う。小学校の記憶は曖昧で、高学年になってやっと、ぼんやりと思い出せる程度。

それまでは、夢で見た突拍子もない物語のように煙に巻かれている。

 

中学生のとき、なにをきっかけにしてか、私は別の私になったように思う。

 

幼い頃の私と今の私とでは、まったくの別人と言っていいほど違っているだろう。自分でも理由は分かっていないが、本当にあの両親から生まれたのか?と疑いたくなるときもあった。

まぁ別のところで、血が繋がっていることを感じてしまうのだが、今は置いておこう。そのあたりから、家族といっても、自分とは違う他人に過ぎないと考えるようになった。

 

まぁ話し始めると長くなるので詳細は省くが、過保護な家庭で育ち、いい子になるように呪いをかけられた私は、けれど、自分で生まれ変わり、あるいは呪いも解けぬまま、中途半端に生きている。

些細なことだけれど、ずっと許せないで、私は間違っていないと思いながら、けれどトラウマになってしまった出来事がいくつかある。

 

お小遣いの計算を間違えて、余分にお菓子を買ってしまい、怒られたこと。父親に怒られ、海に突き落とされそうになった。

車の駐車のとき、ぼうっとしていた私に放った「役に立たん」の一言。

受験シーズン。塾の帰りに寄ったコンビニで雑誌を立ち読みしていたら、置いて帰られたこと。

片付けができない私に浴びせられる人格否定。

 

「役に立たぬ人間なのだ」と植えつけられた私は、一体なにをすれば役に立てるのかがわからない。

一緒に買い物をしている人とはぐれるのが恐ろしい。

うまく生きられないと、他人と比べてしまうと、私は人間としてやっぱり失敗作なのかと感じてしまう。

 

親から離れて過ごす日々は、驚くほど快適で、実家に帰ることも少なくなった。

けれど、どうしても、私はいい子に育てられてしまったから、親孝行の1つもしないで、ぼーっと暮らす私は、それでいいのかと考える。

両親だけで暮らしていることを哀れに思ってしまう。

たとえそれが家族であれ、息苦しく感じるならば無理にいっしょにいる必要はない。分かっているはずなのに、どうしても不安になる。

家族のことを考えられない、大事に思えないなんて、なんて冷たい娘だろう!

 

別に、家族だからといって、家族を愛せなくてもいいと思うんだよ。