『少女は花の肌をむく』朝比奈あすか
早いものでもう3月ですね。我が愛犬と運命的な出会いをしてから、2年の月日が経とうとしています。ずいぶん大きくなりました。いつまでも元気でいてほしいものです。
朝比奈あすか『少女は花の肌をむく』(中央公論新社)
十一歳。”性”が目覚め始めるとき。
美しく自由奔放な野々花。聡明だが”輪”から外れるのが怖い阿佐。あまりにも繊細な感性を持つ咲。
三人の「少女たち」が、異性経験、友人関係、美醜への自信をそれぞれに胸にかかえながら、二十歳へと成長する。
「少女」からの脱皮。”性と生”を彷徨。子どもから大人になる瞬間の火花のような煌めきと揺らぎ。切なく紡がれる物語。
少女の世界は残酷だ。学校がすべてで、所属するグループがないと終わり。その勝負に属さない子もいるけれど、その子らは大抵強い武器を持っているか、何も持っていないか。持たない子はもちろん、標的にされる。少女たちの世界はいつだって残酷だった。
そんなやりとりは、かつての「少女」たちには誰でも経験があるんじゃなかろうか。
この作品は、そんな繊細な心情がよく描かれた作品で、読んでいても胸がちりちりと痛んだ。