幽霊船は海で踊る

一週間に一度、おすすめ本の投稿をしています。

『ハッピーノート』草野たき

 

アルコール消毒をする回数も手を洗う回数もぐっと増えたことで、手あれが例年よりもひどい。

ハンドクリームを何本買えば済むのか。クリーム塗っても気休めくらいにしかならないし。

せめて乾燥がマシになればいいのにね。

 

 

ハッピーノート (福音館文庫 物語)

ハッピーノート (福音館文庫 物語)

  • 作者:草野 たき
  • 発売日: 2012/11/10
  • メディア: 単行本
 

 

草野たき『ハッピーノート』(福音館)

 

聡子は6年生。友だちの前でなかなか思うように自分を出せない。そんな状況から逃れようと、私立の中学に入るため塾に入る。

塾が終わってから、密かに思いを寄せる霧島くんと、ミスタードーナツで自習をするのがささやかな幸せだった。夏期講習の間、お互いの苦手分野を克服する「ハッピーノート」をつくって、一緒に勉強するが……。

わがままでも人のいいなりでもない、自分のペースをつくっていくひと夏の物語。

 

最初に読んだのは、聡子と同じ6年生の頃だと思う。同じように、ちょうど塾に入って、中学受験をしようとしていた頃で、両親が薦めてくれた本だった。

ミスタードーナツは知っていたけれど「オールドファッション」を知らなくて、どんなのだろう、と食べてみたり、お気に入りのペンでノートに書いたりと、随分聡子の真似をした。

先日、久しぶりにもう一度読むと、当時の思い出が蘇ってきて楽しかった。

友だちに嫌われないように、その子の思うような自分を演じたり、親とぎくしゃくしたり、思春期の頃の複雑な世界と思いを描いた、今なお色褪せない作品。