『ハッピーノート』草野たき
アルコール消毒をする回数も手を洗う回数もぐっと増えたことで、手あれが例年よりもひどい。
ハンドクリームを何本買えば済むのか。クリーム塗っても気休めくらいにしかならないし。
せめて乾燥がマシになればいいのにね。
草野たき『ハッピーノート』(福音館)
聡子は6年生。友だちの前でなかなか思うように自分を出せない。そんな状況から逃れようと、私立の中学に入るため塾に入る。
塾が終わってから、密かに思いを寄せる霧島くんと、ミスタードーナツで自習をするのがささやかな幸せだった。夏期講習の間、お互いの苦手分野を克服する「ハッピーノート」をつくって、一緒に勉強するが……。
わがままでも人のいいなりでもない、自分のペースをつくっていくひと夏の物語。
最初に読んだのは、聡子と同じ6年生の頃だと思う。同じように、ちょうど塾に入って、中学受験をしようとしていた頃で、両親が薦めてくれた本だった。
ミスタードーナツは知っていたけれど「オールドファッション」を知らなくて、どんなのだろう、と食べてみたり、お気に入りのペンでノートに書いたりと、随分聡子の真似をした。
先日、久しぶりにもう一度読むと、当時の思い出が蘇ってきて楽しかった。
友だちに嫌われないように、その子の思うような自分を演じたり、親とぎくしゃくしたり、思春期の頃の複雑な世界と思いを描いた、今なお色褪せない作品。