幽霊船は海で踊る

一週間に一度、おすすめ本の投稿をしています。

『10の奇妙な話』ミック・ジャクソン


ようやく春が来たと思ったのに、この数日で真冬に逆戻り。
吹雪の中の出勤はつらいものですね。

 

 

10の奇妙な話

10の奇妙な話

 

 

ミック・ジャクソン『10の奇妙な話』創元社

命を助けた若者に奇怪な風貌を罵倒され、心が壊れてしまった老姉妹。博物館の標本の蝶を蘇らせようと、”蝶の修理屋”を志そうとする少年。教師が宇宙人にさらわれたと信じ、市役所に調査を依頼するこどもたち。
日常と非日常の境界線がおぼろげになる、奇妙な短編集。

この短編集の中でも「蝶の修理屋」が一番のお気に入り。
父親の影響で通うようになった骨董屋の退廃的な雰囲気や、博物館に展示された色とりどりの蝶の美しさと、それが殺したものによる芸術であるという小さな狂気。
「蝶を修理する」という表現がなんとも奇妙でわくわくする作品。
同短編集に収録されている「ピアース姉妹」とともに短編映画になっている。改変され、終わりのブラックさがないのが残念だが、映像のほうもおもしろいのでぜひ。

 

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