『ベランダに手をって』葉山エミ
最近あまり本が読めていない。読んでいることには読んでいるが、慣れないファンタジーを読んでいるせいで進みが遅い。おもしろいのだけど。
そういうわけで、おすすめできる本に限りがあるのだけど、そうこうしているうちに2週間が過ぎたので、これはいけないと思った次第です。
葉山エミ『ベランダに手をふって』(講談社)
お父さんが亡くなってから、毎日をベランダにいるお母さんに手をふって登校していた輝。しかしあるとき、同級生にそれを見られてからかわれてしまう。輝とお母さんの大切な習慣だが、五年生にもなって、といった思いは抱えていた。
その頃、同じように父親を亡くした同級生の香帆と仲良くなる。香帆は運動会での二人三脚に母と二人で参加し、再出発しようと強い思いをかけていたが……。
同級生の無邪気な残酷さや、子どもたちの生活、人のあたたかさが優しい文体で伝わってくる。父親を亡くした香帆に対する輝の「ものすごく暗いトンネルの中にいたんだろうな」という言葉の、飾り気なく、同情でもなく、ちゃちな同意でもない、同じように父親を亡くした輝だからこその表現に胸にしみた。
そういえば、本屋大賞が発表されましたね。
今回は以前ブログでも紹介した『お探し物は図書室まで』しか読めてないけれど、とてもおすすめだし、翻訳部門の『ザリガニの鳴くところ』もおすすめなのでぜひ読んでほしい。
本屋大賞作品で読みたいのは『52ヘルツのクジラたち』『滅びの前のシャングリラ』『自転しながら公転する』あたりかな。
それから、まだ読んでる途中だけど、おもしろいので紹介を。
ダイアナ・ウィン・ジョーンズ『九年目の魔法』(東京創元社)
突然ファンタジー作品が読みたくなって、とりあえず先に『魔法使いハウルと火の悪魔』を読んだのだけど、私には『九年目の魔法』のほうが合ってるみたい。現実と非現実があやふやになっていく感じや、何よりリンさんがなんとも素敵で、読んでいると自分がポーリィになったみたいでワクワクドキドキする。読了したら改めておすすめしたい。