『ハッピーバースデー』青木和雄
もうお正月気分も抜けた頃かと思いますが、みなさんあけましておめでとうございます。
今年も週に一回、本を紹介していきますので、どうぞよろしくお願いします。
青木和雄『ハッピーバースデー』(金の星社)
優秀な兄と違って、ママから愛されないあすか。「おまえ、生まれてこなきゃよかったよな。」誕生日に兄の直人にそう言われてから、あすかは声がでなくなってしまう。
そんな状態になったあすかを見て、自分のしたことの重大さ、両親の言いなりになる人生に気付き疑問を持ちはじめる直人。それでも小さな頃の心の傷が原因であすかを愛せないママ。
そしてあすかを待ち受けていたのは大好きな祖父と親友との別れだった。
小学生の頃に一度読んで、割と鮮明に覚えていたほうなのだが、最近改めて読み直した名作。
完璧な兄と、比べられて何をしても褒められないあすか。兄を贔屓し、あすかをどうしても愛せないママ。家庭のことを顧みないパパ。
児童書ながらもなかなかに深刻な家庭の問題を取り扱った本書。
兄の直人が、自分の言動を反省し、自分の人生を自分で考えて生きようとするものの、両親の反対やそれに抗いきれない無力さの描かれ方がリアルだった。
最近ハッピーバースデーのママの視点も詳細に加わった本が出たようで、気になっている。