『お探し物は図書室まで』青山美智子
久しぶりに積もった雪を見た。ちょうど休みの日だったから、運転の心配をすることなく、純粋に楽しめたけど、雪に慣れない地で育ったため、やっぱり積もった雪を見ると楽しくなる。比較的大きめの(でも雪国の人からすれば小ぶりの)雪だるまを作った。あんな大きな雪だるまがきれいにできるのがうれしかった。小さな頃は、ときどき雪が積もって雪遊びをしても、すぐに土まみれになってしまったから。
青山美智子『お探し物は図書室まで』ポプラ社
仕事や人生に行き詰まる5人が訪れたのは、町の小さな図書室。
「本を探している」と言うと「レファレンスは司書さんにどうぞ」と案内してくれる。
狭いレファレンスカウンターの中に体を埋めこみ、ちまちまと毛糸に針を刺している司書さん。
「何をお探し?」
その不思議な声に、相談者は誰にも言えなかった本音や願望を話してしまう。
図鑑、絵本、詩集……一風変わった選書をした本のリストを印刷した紙と一緒に渡されるのは羊毛フェルト。聞くと「本の付録」だという。
自分が本当に「探しているもの」に気づき、また前を向いて歩ける、心あたたまる小説。
ちょうど読了したので、最近話題の一冊を。
図書館で仕事をしていると、図書室とか図書館とかついた作品がどうしても目を惹く。
青山美智子さんの本は『木曜日にはココアを』を最近読んだのが最初だったのだが、やっぱりこの人はこの手の、人と人とのつながりを描くのが上手い。
小町さんの選書と、人柄は不思議だけれど、こんな司書になりたいなぁと思う。
素敵な言葉がたくさん出てきて、少し心に刺さったり、背中を押してもらったり。
私もがんばろう、と素直に思える小説だった。また読みたい。