幽霊船は海で踊る

一週間に一度、おすすめ本の投稿をしています。

『ときどき旅に出るカフェ』近藤史恵

カフェ巡りはもともと好きだけど、最近また凝っていて、近くのいろんなカフェをめぐるのが楽しくて仕方ない。お気に入りのカフェは何度でも行きたくなるよね。

 

 

ときどき旅に出るカフェ

ときどき旅に出るカフェ

 

 近藤史恵『ときどき旅に出るカフェ』(双葉社

 

奈良瑛子が近所で見つけた小さな喫茶店「カフェ・ルーズ」。
そこを一人で営んでいるのは、かつての同僚・円。
ときどきまとまった休みをとり、世界中を旅しては、世界で見つけた料理やお菓子・飲み物を提供するカフェに足しげく通うようになる瑛子。
でもこの喫茶店にはおいしいだけじゃない、日常の事件や問題が持ち込まれて……。

カフェとか食堂とか、おいしいものが出てくる小説にいつしかのめり込んでいる。そのきっかけで、手にした本がこの『ときどき旅に出るカフェ』なのだが、思っていたよりもおいしいばかりではなかった。
カフェに持ち込まれる事件や問題は、現代社会でよく話題になっていることばかり。すっきり!とはいかないものの、出てくる食べものや飲み物はどれも聞いたことがなくておいしそうだし、こんなカフェがあればいいなぁと思ってしまう。ただ、カフェの穏やかな雰囲気を求めて読むには少し重いかも。
たびたび出てくるアルムドゥドラーも飲んでみたいし、いろんなカレー、パスタ、カフェ・グルマンもおいしそう。あまり旅に出られなくなった昨今、本の中でめいっぱい旅して、世界のおいしいものを楽しむにはぴったりかもしれない。