幽霊船は海で踊る

一週間に一度、おすすめ本の投稿をしています。

珈琲党だとか紅茶党だとか

珈琲が好きだ。

定期的にカフェインを取り入れないと、禁断症状が出てしまうくらいには。とは言え、豆の違いもロクに分かっていないのだが。ブルーマウンテンが良い豆だ、というくらいの知識しかない。

ところが生意気にもハンドミルを持っている私は、時々ごりごりと豆を挽く。たちまちいい香りが鼻腔をくすぐる。幸せだなぁと思えるひとときである。

珈琲の淹れ方も自己流で、随分前に喫茶店で聞いたコツのうろ覚えと、父親の珈琲を淹れる様子だけで淹れている。父親も珈琲が好きで、よく淹れているものだから、何かコツを知っているものだと思っていたのだが、聞いてみると「なんとなく」と言う。珈琲とは得てしてそういうものなのかもしれない。

そんなことを言えば、世の珈琲党の皆さんに怒られそうだ。

怒られそうといえば、私の珈琲の飲み方もそうで、珈琲なんてものはカップの1、2割。多くて3割ほどのもので、あとはミルクをたっぷり入れる。喫茶店にある、「ミルクコーヒー」と呼ばれるもので、メニューにあるくらいなのだから、飲み方としてはあながち間違いなのではないのかもしれない。けれど、世の珈琲党は、これは偏見かもしれないが、ブラックじゃなければ意味がないという方が多数いると思うので、やはりもったいない飲み方ではあるのだろう。そんな微量のカフェインでも摂取したいのである。

これほど珈琲を飲んでいる私だが、かつては紅茶派であった。嫌いになったわけではないし、今も飲まないことはないのだが、まぁ昔に比べると割合が少なくなった。紅茶はそれなりに銘柄を知っていて、中でもアールグレイがお気に入りだった。紅茶を飲みはじめた頃は、レモンティーにしてよく飲んでいたが、ストレートで飲むようになったり、ミルクティーにすることもままあった。まぁさまざまな飲み方で飲んでいたのだが、あるとき、ミルクティーというものは、少しのミルクを入れるのではなく、たっぷりのミルクを入れて飲むものだと知ってから、ミルクティーばかり飲むようになった。ロイヤルミルクティーというものが特にそうで、たっぷりのミルクで紅茶を煮立たせて作るのだ。優しいミルクの中に香る紅茶がなんともうまい。

世には、紅茶を好む者と珈琲を好むものがいて、歴史を辿れば、イギリスで発展した紅茶と、それに反発して珈琲文化が栄えたアメリカという、結構深い溝があるのだし、現代でもそれなりに溝はあるように思う。けれども、どちらも好いている私のような人間もいるし、なんなら、誰にも怒られそうな飲み方をしている。

そういえば、ココアだって昔から、たっぷりのミルクで作っていたっけ。

そう考えると、私は珈琲派でも紅茶派でもなく、ミルク派なのかもしれない。